2016年12月1日、ガンビアの投票所で有権者が受け取ったのは紙の投票用紙ではなく、一個のビー玉だった。独立選挙管理委員会(IEC)の手順では、係員が有権者カードと名簿を照合し、左手の人差し指に消えないインクを付けたあと、ビー玉を一つ渡す。有権者は候補者ごとに用意された投票ドラムの穴へそれを落とす。係員は、ビー玉が内部のベルに当たる音を聞いて投票を確認する。文字を読めなくても候補者の写真や色で選べる仕組みであり、秘密投票と一人一票を両立させるための精密な手続きだ。
この制度では、行列も投票の仕組みの一部である。IECは投票所で「正しい列」へ案内し、午後5時の閉鎖時刻に列にいる人には投票を認めると説明している。2016年選挙の登録有権者は886,578人、投票者は525,867人で、投票率は59%だった。小さな球は遊び道具のように見えるが、順番を待つ人の手に渡った瞬間、政権を選ぶ一票になる。ガンビアの行列の面白さは奇抜な道具ではなく、読み書きの能力に左右されにくい投票を、音と色と厳格な順序で成立させている点にある。
