南部アフリカのレソトは、周囲を南アフリカに囲まれた山の国だ。総選挙の日、投票所で順番を待つという行為には、都市の短い移動だけでは語れない事情がある。谷を越え、道路の状態や交通手段を確かめながら投票へ向かう人もいる。
レソトの政治では、議会選挙の結果が連立政権の交渉につながることがある。投票用紙に印を付ける行為は短くても、その後にどの政党が政権を組むかは簡単に決まらない。列の人々は同じ制度に参加していても、望む政策も候補も違う。待つ姿を一つの政治的意思として描いてしまえば、その違いを消してしまう。
行列は人を一列に並べるが、意見まで一列にはしない。山道の先にある投票所は、違う考えが同じ入口を使う場所なのである。
山地の投票所では、人口の少なさが待ち時間の短さを保証しない。投票所までの距離、名簿確認、資材の到着が、一票を投じるまでの道のりを決める。
VOAの投票日報道は、2017年レソト総選挙で投票を待つ列を直接記録している。
