2022年3月、ジョージアの首都トビリシにあるクレド銀行では、開店30分前に約40人が並んでいた。全員がロシアかベラルーシから来た人で、三日連続で口座開設を試みる人もいた。店内に入れるのは一度に4人。番号を受け取った後も、別の仮想的な順番待ちが続いた。

ロシアによるウクライナ侵攻後、制裁の影響でロシア発行のカードが国外で使いにくくなり、ジョージアへ移った人々には現地口座が必要になった。取材時、番号は642まで進み、前日は695だった。手続きには一人およそ30分かかり、職員は閉店後も対応を続けた。

この列の固有性は、国境を越えた直後に、お金へのアクセスを一から作り直す必要があった点にある。銀行口座は単なる便利な商品ではなく、家賃を払い、買い物をし、新しい町で生活を始めるための基盤だった。地政学の大きな変化が、入口前の40人と一枚の番号札に縮約されていた。