2021年1月15日、ブラジル北部マナウスの民間企業の前に、医療用酸素の購入やボンベの補充を求める人々が集まった。ロイターのブルーノ・ケリーが撮影した写真の説明には、入院中、あるいは自宅で療養する患者の家族らがいたとある。翌16日には、待ちながら車の中で眠る男性も撮影された。列にいる人と、その列が必要な人は、同じとは限らない。
当時のマナウスでは、新型コロナウイルス感染症の流行が医療体制を圧迫し、酸素供給が深刻な危機に陥っていた。酸素は病院の壁の内側で自動的に届くものではなくなり、家庭がボンベを探し、運び、補充するという切迫した行動に結びついた。現地紙『フォーリャ』は1月15日、工業地区にある酸素供給施設の列を伝えた。そこには自宅で療養する家族のために充填を待つ人の事情も記録されている。
ふつうの行列なら、順番が来れば目的を果たせると期待する。しかし医療用酸素を待つ間も、病気は待ってくれない。容器が手に入るか、充填できるか、運べるか、患者のもとへ間に合うか。列の先頭は終点ではなく、幾つもの段階の一つだった。この現実を、忍耐を称える美談に言い換えるべきではない。
ここでは、人が自分のためだけに並んでいるとは限らない。待つ時間の外側に、横になって呼吸を続けようとする別の人がいる。写真に写る列だけでなく、写らない患者との距離まで考えると、行列の意味が変わる。
酸素を必要とする患者は列に立てない。家族がボンベとともに引き受けた待機は、病室の外へ移された医療行為の一部だった。
ロイターの写真は2021年1月14日、マナウスの酸素販売業者前で、空のボンベを持つ人々が家族のための補充を待つ場面を特定する。列の単位は一人ではなく、その先で呼吸を待つ患者一人分でもあった。
