2019年9月13日、ブラジル北東部レシフェの公的銀行カイシャ(Caixa Econômica Federal)の支店に、朝から列ができた。地元紙『JC』は、労働者保障基金FGTSからの特別引き出しが始まった初日の様子を伝えている。対象者が受け取ろうとしていたのは、口座ごとに最大500レアルの資金だった。銀行は混雑に対応して、一部の支店で営業時間を延長した。

FGTSは、雇用主が労働者のために積み立てる制度で、通常は一定の条件のもとで引き出す。だから、この列を単純な「無料のお金の配布」と呼ぶと、仕組みを見誤る。2019年の特別措置は、普段は自由に使えない積立金の一部を、決められた時期に引き出せるようにしたものだ。銀行に口座を持つ人の中には、自動入金の対象者もいた。全員が窓口で現金を受け取る必要があったわけではない。

同じ制度でも、手元に届く経路は同じではない。口座振込で済む人がいる一方、窓口に向かう人もいる。手続きに使える時間や、銀行までの距離さえ、受け取り方を左右する。行列は制度そのものの写真ではない。制度が生活の時間割とぶつかる地点の写真だ。

この列の少し妙なところは、人々が「新たに与えられたお金」ではなく、すでに自分のために積み立てられていたお金の一部を待っていたことにある。所有していることと、今すぐ使えること。その二つの間にも、順番待ちは生まれる。

FGTSの列で待っていたのは贈与ではなく、すでに積み立てられた自分の資金だった。所有していることと、指定日に引き出せることの間を、銀行の順番が区切っていた。