文廟の列では、書家の前に立つまでに新年をどの一字へ託すか決めなければならない。
文廟は1070年に創建され、学問と結びついた場所として知られる。受験生や親が合格を願い、仕事の成功や家族の平安を求める来訪者もいる。列の流れは一つではない。書家を選ぶこと、希望する文字を相談すること、揮毫を待つことが、小さな段階に分かれている。
相談と揮毫が一人ずつ異なるため、工場のように処理時間をそろえられない。
2026年2月18日、旧正月2日目のハノイ文廟には、書家に新年の言葉を書いてもらう人々が朝から集まった。ダンチーの報道には、「福」「安」「学」など、自分や家族に託したい一字を考えながら順番を待つ姿が写っている。完成品を買うのではなく、言葉を選び、書き手と向き合い、その場で墨が紙に置かれるのを受け取る。
一字は短いからこそ、選ぶのに時間がかかる。新年の願いを全部書き並べる代わりに、何を最初に置くかを決めなければならない。この列で人々が待っていたのは筆が空く瞬間だけではない。これからの一年を、どの言葉で始めるかという決心でもあった。
短い文字ほど、選ばなかった多くの願いを背負う。
2026年の旧正月二日目、ハノイの文廟には早朝から書を求める人が集まり、周辺道路にも混雑が生じた。待っていたのは完成品ではない。試験合格、成功、平安という願いを一字へ託し、書き手が自分の番の文字を形にする時間だった。
