1989年8月5日、ペルーの銀行支店には長い列ができていた。『エル・コメルシオ』歴史資料部の回顧記事が伝える理由は、高額紙幣の不足である。ハイパーインフレのさなか、通貨インティの購買力は時間単位で失われ、同年5月に1万インティ札が出たばかりだった。それでも日常の支払いに必要な紙幣は追いつかず、人々は銀行窓口で現金にアクセスする順番を待った。
この列は、銀行という制度が止まった光景ではない。むしろ制度が動いていても、受け取るべき紙幣そのものが不足すると、窓口の前に時間が積み重なることを示す。記事は列に並ぶ全員の個別取引を特定していないため、預金引き出しだけだったとは断定しない。ただし、銀行支店で高額紙幣を必要とする利用者が物理的に順番を待ったことは明確である。
同じ年のペルーでは、賃金や貯蓄の数字が残っていても、現金を手にするまでの時間が生活を左右した。列の一人ひとりにとって、待つことは単なる不便ではない。価値が減る前に紙幣を受け取り、次の支払いへ進むための切迫した手続きだった。違う通貨、違う危機のなかでも、限られた窓口の前で自分の番を待つ姿は、現金へのアクセスが社会的な順序として現れる瞬間を映している。
