世界保健機関の写真資料は、1977年のソマリア・モガディシュで、メッカ巡礼者が予防接種券を待つ場面を記録している。キャプションが示す待機対象は接種そのものではなく、接種を証明する券である。巡礼は国境を越えて多数の人が集まるため、感染症対策と渡航手続きが結びつく。資料から列の人数や待ち時間、発券の細かな手順までは確認できないが、「pilgrims wait for vaccination tickets」と明記され、順番を伴う待機の目的は具体的だ。1977年はアフリカから天然痘が排除された年でもあり、ソマリアは世界的根絶の最終局面で重要な場所になった。この待機は医療、宗教行事、国際移動の三つが交差する。巡礼へ出発する前に、人々はまず公衆衛生制度から旅に必要な証明を受け取る順番を待った。