1940年から45年のベルリンで、男女が金物店の前に列をつくった。オーストラリア戦争記念館が所蔵する写真には、空襲被害の修理材料を得るための列と説明する英空軍のキャプションが付く。店の窓は板で覆われ、看板には台所用品、金物、かみそり刃が掲げられている。営業は「緊急販売」に限られていた。

ただし、この写真は中立的な街角記録ではない。ドイツ側の宣伝写真を英空軍が接収し、独自の文言を添えた資料である。したがって、列の人数、待ち時間、被害の規模、撮影者の意図を画像だけから断定しない。確認できるのは、戦時下の修理需要が、通常の商品選びではなく、限られた資材を受け取る順番として現れたことだ。

空襲後に必要なのは大きな復興資材だけではない。割れた窓を塞ぎ、傷んだ家財を直す釘や金具も暮らしを戻す条件になる。この列は、戦争の破壊が家庭へ届いたあと、修理という地味な工程にも配給に近い待機を生んだ記録である。