2015年9月25日、シドニーでiPhone 6sの発売を待つ列に、人間ではない一台が加わった。ロイターが記録した「Lucy」は、車輪付き端末にiPadを載せた遠隔操作ロボットだった。所有者は仕事を続けながら画面越しに列へ参加し、二日間その場にいられない自分の代わりを機械に任せた。ほかにも数十人が雨の中で発売を待った。
シドニーは時差のため、世界の主要都市の中でも早く発売時刻を迎える。最初の購入者を撮ろうと報道陣が集まり、列の先頭は商品を早く得る場所であると同時に、世界向けの映像に入る場所になった。新機種の目玉は押す強さを読み取る3D Touchなどだったが、列の話題をさらったのは画面から参加するロボットだった。
行列は身体がその場にあることを順番の根拠にする。Lucyはその前提を揺らした。代理人を雇うのではなく、自分の顔と声を機械に載せ、仕事場から場所を保持したからだ。どこからでも接続できる端末を買う列で、購入者はすでに「そこにいなくても、そこにいる」方法を実演していた。
