2000年3月3日の夕方、東京・秋葉原。翌日に発売されるソニーの「プレイステーション2」を求め、ラオックスGAME館の前に人が集まっていた。現地取材によると、午後4時ごろには300人超、午後8時には500人を超え、列は駅前広場を一周した。防寒用の寝袋や毛布を持ち込み、漫画を読み、UNOで遊ぶ人もいた。ゲーム機の発売を待つ時間そのものが、奇妙な共同イベントになっていた。

3月4日、店員は購入希望者を4列に整列させ、午前6時半ごろから整理券を配った。午前7時の販売開始後も、新たに駅から来る人々が最後尾に加わった。別の新宿の販売店では、前夜に推定約2,500人が集まっていたとASCII.jpが記している。ただし、この数字を秋葉原の店舗の人数と混同してはいけない。列の長さも店によって違った。

プレイステーション2は、ゲームだけでなくDVDも再生できる機器だった。インターネット予約という新しい買い方が登場していた一方、当時の報道はその予約サイトにアクセスが集中し、一時停止したことも伝えている。新しい時代の娯楽を買うための入口は、オンラインでも店先でも混み合っていた。最新の技術が、紙の整理券という古くからの解決策を必要としたのである。

行列をつくった全員が同じ事情だったわけではない。発売日に遊びたい人、友人より先に持ちたい人、DVDプレーヤーとして使いたい人。列の外から眺めれば一つの熱狂でも、順番を待つ理由は少しずつ違う。午前7時に箱を受け取れば、長い夜の列は終わる。しかし、その箱の中には、これから何時間も人を夢中にさせる機械が入っていた。遊ぶ時間を手に入れるため、まず遊べない時間を過ごしたのである。

整理券は本体そのものではないが、品薄の発売日に購入資格を一時的に形にした。番号を得た人は、次にレジと受渡しを待つ。PlayStation 2の発売日は、未来的なゲーム体験が、紙の番号札という古典的な仕組みに支えられた日でもあった。

PC Watchは2000年3月4日、秋葉原で午前7時に販売が始まった場面を記録した。ゲーム機の発売時刻が一斉に訪れても、商品を受け取る時刻は整理券と店舗の処理能力によって一人ずつずれていった。