2007年6月29日、ニューヨーク・五番街のアップルストアには、まだ買えない電話を買うための列ができていた。初代iPhoneの発売日である。ロイターは、午後6時の販売開始を前に何百人もの人が並ぶ様子を撮影し、最初の購入客が店に入る瞬間を記録している。製品はガラス越しに眺めるだけのものではなかった。誰が最初に手にするか、店の外で順番が決まっていた。
この電話には物理キーボードがなかった。指で画面に触れて操作し、音楽を聴き、インターネットを見る。今日なら当たり前の動作が、当時は試してみたい未来の身ぶりだった。アップルが前日に出した発表によれば、全米の直営店164店で現地時間午後6時から販売し、一人が買えるのは最大2台。4GB版は499ドル、8GB版は599ドルだった。「先着順」というルールは、珍しい機械を誰のものにするかを、列に費やした時間で決めた。
待つこと自体が報道の対象にもなった。記者は列の先頭や店の入り口を撮影し、客たちは新製品をまだ操作できないうちから、その登場を祝っていた。しかし列の全員が同じ期待を抱いていたと決めつけることはできない。使うために欲しい人も、話題の中心にいたい人も、別の目的の人もいたかもしれない。記録から確かなのは、発売日のニューヨークで、製品より先に行列が公共の風景になっていたことだ。
この日から携帯電話の歴史が一瞬で塗り替わった、と言うのは簡単だ。実際には、未来と呼ばれたものにも開店時刻があり、価格があり、買える順番があった。革新が始まる場所で、人々は驚くほど昔ながらの方法を使った。入口の前に立ち、前の人が一歩進むのを待ったのである。
初代iPhoneの販売列では、端末を買う順番そのものがニュースになった。午後6時という発売時刻まで、客はまだ使ったことのない機械のために公共空間を占めた。製品の価値に、最初の所有者になる時間的な価値が重なった。
ロイターの写真記録は2007年6月29日、ニューヨーク五番街のApple Storeで、午後6時の発売と同時に先頭客が入店する瞬間を特定する。発売時刻が秒針まで共有されたことで、数日前からの待機は一斉に動き出す「開演前」の列になった。
