ラマダンの日中、ブルネイのムスリムは断食を続け、日没後の食事「スンカイ」に備える。午後になると、バンダルスリブガワン周辺のラマダン市場には、持ち帰りの料理を選ぶ人びとが集まる。政府紙『Pelita Brunei』は2015年、ガドン市場の食品屋台前で買い手が列を作る様子を写真で記録した。

2023年の記事は、国立ハサナル・ボルキア競技場の市場で売られた巨大なロティ・ジョンを紹介している。卵、ひき肉、野菜、ソースなどを挟むこのパン料理は評判になり、記事は、それを買うために長い列へ並ぶ客がいたと明記した。店主は一箱を大人数で分けられる商品として考案し、SNSでの予告も人気を押し上げた。

ここで待つ時間は、断食明けの食卓を想像する時間でもある。市場には多くの料理が並ぶが、評判の一品を選んだ人は、ほかの客と同じ列に立ち、自分の番を待つ。国も料理も違っても、家族や仲間と囲む食事を持ち帰る前の期待は、屋台の列に同じ形で現れる。