ブルネイではラマダンになると、断食明けの食卓に並べる料理や飲み物を求めて、午後の市場へ人が集まる。政府系紙『Pelita Brunei』は2013年7月12日のガドン市場を取材し、断食明けの品を買う来場者でラマダン屋台が絶えずにぎわっていたと伝えた。市場には菓子、焼き物、米料理、冷たい飲み物などが並び、家族の食事を整える短い時間に買い物が集中する。
列であることを直接示す記録も残る。2018年のブルネイ生活誌は、屋根付きのラマダン市場で飲料屋台に客が一列に並ぶ写真を掲載した。人々がただ群れているのではなく、同じ売り場から順番に品を受け取ろうとしている場面である。別の政府系資料も、ガドン市場がラマダン期に食べ物と飲み物を買う人々の主要な行き先だったことを確認している。
この列は、欠乏による配給列ではない。日没後の食事を家族や友人と共にするため、限られた午後の営業時間に一つの屋台を選び、前の客の注文が終わるのを待つ列だ。宗教暦が一日の食事の時刻をそろえ、市場の小さな売り場に共通の時間をつくる。違う文化の市場でも、欲しい一杯を手にするまで前の人を待つという振る舞いは、よく知る日常の順番待ちと変わらない。
