2023年9月、ベトナム・ハノイの老舗菓子店バオフオンでは、中秋節の月餅を求める人々が深夜から列をつくった。VnExpressの取材では、ある家族が午前1時に到着し、店の前にはすでに数百人がいた。需要が集中するこの時期には、客本人だけでなく、家族に頼まれた人や報酬を受け取る代理購入者も順番を待つ。代理業者は午前0時ごろから並び、箱ごとの手数料を受け取ると説明している。
月餅は家族で分け合う季節の贈り物だが、その人気は「待つ時間」そのものを仕事にも変える。誰かに食べてもらいたい、贈りたいという気持ちは同じでも、列に立つ身体は本人とは限らない。ひとつの菓子をめぐり、家族、客、代理人の時間が一本の列に重なる。
