イラクのカルバラへ向かうアルバイーン巡礼では、道沿いに「マウキブ」と呼ばれる奉仕拠点が設けられ、食事や飲み物、休憩場所などが巡礼者に提供される。巨大な人の移動を支えるのは、交通や警備だけではない。湯気の立つ食事を用意し、水を渡し、疲れた足を休ませる人々の働きもある。無料で提供されるからといって、費用や労力が消えるわけではない。誰かが材料を運び、調理し、片づける。食事を受け取る順番が生まれる場面も考えられるが、すべての拠点で同じ形の列ができると断定はできない。巡礼者と奉仕者の関係を単純な「客と店員」に置き換えられないところに、この光景の特徴がある。ここで待つことは、商品を買うためだけの時間ではない。信仰と歓待を、具体的な食卓へ変える営みの一部でもある。

アルバイーン巡礼の無料給仕では、料理を受け取る列と、次の食事を用意する作業が並行する。値段のない食卓は、寄付、調理、配膳の大規模な連鎖によって支えられる。