エジプトでは、政府補助のバラディパンを買うため、朝早くからパン屋の列に加わる住民がいる。2010年にヘルワンで取材された49歳の父親は、毎朝6時までに路上へ出て長い列に並ばなければ、子どもたちが空腹になると語った。補助パンは、低所得世帯にとって日々の食事を支える価格で販売されていた。
この列は、焼き上がりを楽しみに待つだけのものではない。輸入小麦に依存する国で、国家の食料補助が一個のパンとして家庭へ届く最後の区間である。電子カードや販売網の改革が進んでも、補助パンは数千万の市民が利用する制度の中心に残っている。
この行列の時計は、通勤や通学より先に動き出す。父親が費やす時間は、安いパンと家族の朝食を交換する見えない費用だ。国家財政、世界の小麦市場、近所の窯が、毎朝の一列に凝縮されている。
