2020年5月、インド北部ガジアバードのラムリーラ広場に、故郷へ戻る特別列車へ登録する移住労働者が集まった。都市封鎖で仕事と収入を失っても、駅へ行けば乗れるわけではない。州をまたぐ移動には名簿、健康確認、列車ごとの割り振りが必要で、広場の列は切符売り場より前に置かれた最初の関門だった。

インド政府は5月1日から「シュラミク特別列車」を走らせたが、帰郷希望者の規模は輸送力を大きく上回った。人々は荷物を抱え、登録の順番を待ち、乗車日が確定するまでさらに待った。列車の本数だけでなく、州政府同士の調整や名簿作成の速度が帰宅の速さを決めた。

この列の驚きは、移動手段が用意された後にも、移動できない人が大勢残ったことにある。ホームに着く前から旅は始まり、列車に乗る資格を得るための待機が、都市と故郷の間にもう一つの距離をつくった。

この広場で待たされたのは列車そのものではなく、列車に乗る資格が名簿へ移されるまでの時間だった。駅へ着く前に移動の可否が決まるため、帰郷の旅はホームではなく登録机から始まっていた。