2024年、戦争で避難した家族が暮らすスーダン紅海州で、出生登録の追いつきキャンペーンが始まった。イブラヒム・バラル学校の登録所では、親や養育者が子どもの証明書を得るため朝早くから列をつくった。二人の娘を連れた避難民ラシャもその一人で、以前は費用、裁判所への訪問、親族の証人が必要な複雑な手続きに阻まれていた。
新方式では裁判官を含む登録チームが会場へ出向き、手続きを三〜五日に短縮した。同校だけで一日100人を超す子どもが登録された。証明書は学校、医療、食料救援への入口であり、避難や家族離散の際には子どもの身元をたどる手掛かりにもなる。
ここで待つ対象は紙一枚だが、その紙が証明するのは子ども自身である。戦争で住所や所持品を失った家族にとって、学校の列は行政手続きへの復帰であると同時に、帰還の可能性を残す順番だった。
