2021年、インドでは新型コロナウイルス感染症の流行が深刻化し、ワクチン接種会場で待つ人々の姿が報じられた。注射そのものは短時間でも、予約、本人確認、移動、供給の制約が接種までの時間を延ばす。
接種機会があることと、誰でも同じように利用できることは違う。仕事を休めるか、会場に行けるか、予約に必要な情報にアクセスできるか。列の長さだけでなく、列にたどり着くまでの条件が公衆衛生の公平さを左右する。
接種枠があっても、全員が同じ条件で会場へ行けるわけではない。仕事を休めるか、予約に必要な通信環境があるか、移動できるか。見えている列の長さだけでは接種機会の公平さを測れない。密集を避けながら多くの人に接種するという相反する課題もあり、安全に待てる仕組みそのものが公衆衛生の一部だった。
注射の時間は短いが、登録、本人確認、問診、接種後観察までを含めると一人の流れは長い。大量接種会場の列は、医療行為より周辺手順によって形づくられた。
