中国の春節帰省ラッシュ「春運」は、かつて切符を手に入れること自体が長距離の行列だった。春秋航空の創業者・王正華は、上海駅の切符売場前に、帰省切符を求める人が約一キロ並んだ時代を回想している。2004年に航空会社を設立したころでさえ、飛行機で帰省する人は少なかった。

2019年の春運では、1月21日から3月1日までに約30億回の移動が見込まれた。一方、広州と深圳を結ぶ都市間高速鉄道の一部駅では、スマートフォンのQRコードを改札で読み取り、後払いする「切符なし」乗車を導入した。従来は切符の購入、受取、入場に20~30分かかった手順が数分になり、窓口と改札前の集中を減らした。

一キロの列とQRコードは、同じ「家へ帰る」需要の二つの入口である。移動人数が減ったから列が消えたのではない。乗車権を窓口で受け取る順番から、個人の画面で認証する手続きへ変わった。