1907年のニューヨークで、写真家ルイス・ハインはバワリー・ミッションのパン列を撮影した。米国議会図書館の目録が伝える題名は「午前2時」。食料を待つ列が、朝食や昼食の時刻ではなく、街が眠る深夜に存在したことを資料の名称自体が記録している。
ハインはのちに児童労働の写真で知られるが、この一枚の目録から確実に言えるのは、1907年、ニューヨーク、バワリー・ミッション、パン列、午前2時という組み合わせである。写真の人数、配られた量、各人が列に来た事情は目録にない。そこで、失業や住居の状況を個人へ勝手に当てはめることはしない。
それでも時刻は重要だ。昼間の窓口なら、待機は役所や商店の営業時間に沿う。午前2時のパン列は、救済を必要とする時間と都市の通常の活動時間が一致しなかったことを示す。列の先には商品を選ぶ売場ではなく、ミッションが用意する食料があった。夜の二時という短い記録は、都市の貧困が日中だけに現れる問題ではなく、食事を得る順番が一日の境界を越えて続いていたことを伝えている。
