2022年6月9日、タイが大麻の栽培と飲食物への利用を合法化した日、バンコクの販売店には大麻商品を求める列ができた。ロイターが取材した24歳の男性は、初めて合法的に大麻を買うため、前日の夜から店頭で待っていた。列の先頭は、単に新しい商品へ最短で届く場所ではなく、法律が切り替わる時刻をまたぐ場所でもあった。
タイは厳しい薬物法で知られてきたが、この日、アジアで初めて大麻の栽培と食品・飲料での利用を認める国になった。一方で公共の場での喫煙は処罰対象になり得た。つまり列に並ぶ人びとが迎えたのは、何でも自由になる瞬間ではなく、合法と違法の境界が大きく引き直される初日だった。
新型商品の発売列なら、待つ対象は箱の中にある。しかしこの列で最も新しかったのは商品より制度だった。前夜からの待機は、長く禁止されていたものが公然と販売される社会へ移る、その境目を身体で確かめる行為になった。
