1993年5月30日、カンボジアの遠隔農村で、人々は白い国連トラックへ続く列に並んだ。荷台は移動投票所になっており、有権者は梯子を一人ずつ上る。入口では国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の兵士が身分証を確認した。戦争で道路も行政も傷んだ土地では、投票箱を建物へ置く代わりに、投票所そのものが村へ走ってきたのである。

UNTACが組織した選挙には約427万人、登録有権者の89.56%が参加した。固定投票所に加えて移動手段を使った運営は、遠隔地にも秘密投票の機会を届けるための仕組みだった。列は単に順番を待つ人々ではなく、本人確認、梯子、車内の投票という一連の手続きを一人ずつ通過させる装置になった。

この行列の固有性は、列の先に校舎や役所ではなく、停車したトラックがあることだ。移動する投票所がようやく止まり、人々のほうが動き始める。国家の制度が十分に届かなかった場所で、民主的な順番は一台の車と一本の梯子から組み立てられた。