1990年代のバグダッドでは、食料配給制度が暮らしの土台になった。1990年9月のロイター報道は、住民が暑さのなかパンを求めて最長3時間並んだと記録する。同月20日の写真説明にも、長い列で待つ人々と、何時間も並んでパンを受け取った高齢女性が写る。さらに1999年9月15日の写真は、バグダッドで女性たちが食料配給を受け取る場面を記録している。
列に並ぶのは、珍しい商品を手に入れるためではない。家族が毎日食べるパンや、月々の配給を確保するためだ。制裁、輸入制限、価格上昇は国際政治の語彙だが、その影響は店先で一人ずつ順番を待つ時間になって現れる。列は配給を秩序立てる一方、食べることさえ時間と体力を必要とした社会を可視化した。
