1989年、当時ソ連を構成していたエストニアのタルトゥで、写真展「写真芸術のなかの女性」が開かれた。後年のタルトゥ美術館の調査展を紹介したVisual Historyの記事は、共同主催者ヘリュ・コメルの回想を伝えている。来場者は非常に多く、展覧会を見る列は市中心部の半分に及んだという。

人気の理由は単なる娯楽ではなかった。女性の身体を社会的・美的な題材として扱う写真は、当時の公共空間ではめったに見られなかった。政治的自由を求める動きが強まる時期、人々は珍しい表現を自分の目で確かめ、同じ好奇心を持つ人々と場を共有するために待った。店の商品ではなく、新しい見方そのものが不足していた時代の文化の列である。