インドの大都市圏では、通勤定期券の購入や更新が駅窓口へ集中し、日常的な列をつくってきた。鉄道省の2008年度予算演説は、長い窓口列を減らす手段として自動券売機や携帯電話による発券を拡大すると述べた。毎日同じ区間を使う人まで、期限が来るたびに一回限りの切符と同じ窓口へ並んでいた。

定期券は反復する利用をまとめて処理する商品なのに、その更新手続きが反復する待ち時間を生むのは皮肉である。デジタル更新は、利用履歴と決済を窓口から切り離し、駅へ着く前に手続きを終えられるようにする。

ただし端末や携帯へ移せば全員が同じように便利になるとは限らない。現金利用者、機器に不慣れな人、通信環境の弱い地域には窓口が残る。改革の価値は列を完全になくすことより、簡単な更新を別経路へ逃がし、本当に対面支援が必要な人へ窓口の時間を戻すことにあった。

携帯で更新できるようになると、定期券の順番は窓口の営業時間から切り離された。通勤者が毎日使う時間を確保するための券が、その更新のために通勤時間を奪うという矛盾を小さくした。