大恐慌期のニューヨークでは、仕事を失った人々が雇用局で登録の順番を待った。米議会図書館に残る写真は、失業者がニューヨーク市の雇用窓口へ集まった場面を記録している。列の先にすぐ仕事があるわけではない。氏名、職歴、技能などを登録し、求人との照合対象になるための入口である。失業して収入が止まった人ほど、結果が保証されない行政手続きへ時間を使わなければならなかった。

この列は、工場の採用門前にできる列とは性質が違う。一社の空きを争うのではなく、労働市場からこぼれた人々を制度が数え直す場所だった。登録は人を統計上の「失業者」にすると同時に、次の紹介を受ける可能性を作る。写真に写る待機者のその後は分からない。だから就職へ結びついたと物語を補うことはできない。確実なのは、仕事を失ったあとにも、何もしない時間が訪れたのではなく、仕事を探す資格と記録を得るための列が続いたことだ。失業とは職場から退出する出来事であると同時に、別の窓口へ並び直すことでもあった。

雇用局は求職者を技能や職種で分類し、求人側の条件と結び付けるための情報を必要とした。列の一人ひとりは「仕事がない人」という同じ外見でも、窓口の内側では別々の履歴へ分けられる。待機は、群衆が個別の記録へ変換される前段階だった。