1999年12月、ロンドンのソーホーにあるバー「Pop」で、少し妙な設備が話題になった。女性用の小便器「Lady P」である。発明の背景にあったのは、特別なイベントではない。女性用トイレの前で、順番が来るのを待つ、あのありふれた時間だった。

同年12月の英紙『オブザーバー』の取材によれば、考案者マリアン・ロートが着想を得たのは、ジャズ祭でトイレの列にうんざりした知人が、ついに男性用小便器を使ったという話からだった。新製品は従来の便器より短時間で利用できると製造側は主張した。だが、問題は単に処理速度を上げれば済むものではなかった。

バーを訪れた女性たちの反応は割れた。便利そうだと期待する声がある一方、姿勢や衣服、プライバシーへの不安もあった。店は目隠しのカーテンを設ける考えを示した。待ち時間を短くする技術も、それを使う人が安心できなければ、列を消せるとは限らない。

このCandidateに記録されていた「1999年ロンドンの女性用トイレ」という大きな主題を、特定の店の前に長い列ができたと勝手に読み替えてはいけない。同時代の記事が具体的に伝えるのは、女性用トイレの待ち時間という広く知られた問題と、それを解決しようとした一つの試みだ。開店時に何人並んだか、といった数字は確認できない。

行列というと、人気の証拠にも見える。ところがトイレの行列は、誰かの人気を示しているわけではない。設計した人が想定する利用時間、設備の数、身体や服装への配慮が、利用者の時間に姿を変えて現れる。1999年のロンドンでは、その当たり前の不便が、新しい形の便器まで生み出した。

1999年にロンドンのバーへ導入された女性用小便器は、通常の便器より最大六倍速いと宣伝された。発明の出発点は、ジャズ祭のトイレ列に耐えかねた女性だった。設備の形を変えることが、待つ人へ「急いで」と求める以外の解決策になった。