劇場では、同じ舞台を見に来た人でも、同じ条件で入場できるとは限らない。ブエノスアイレスの安価な立見券をめぐる候補は、切符の価格と、席を得るために費やす時間との関係を問う。安い券ほど長く待ったのか。それとも販売方法は別だったのか。答えを決めつけず、劇場ごとの料金表や券売記録を確かめたい。観客の熱狂だけでなく、入場の仕組みも文化史になる。
劇場の立見席は、安価な入口である一方、長時間立つ体力も求める。値段だけで平等を測れないところが面白い。販売方法の裏付けが取れれば、舞台の外にも観劇の物語がある。
立見席は安い切符で観劇できる入口になるが、上演中ずっと立つ体力を必要とする。ブエノスアイレスの劇場については、価格の安さと待ち時間の長さを短絡させてはいけない。券がいつ売られ、何枚用意され、どこで買えたのか。その仕組みを確かめてこそ、舞台の外側にある観客の歴史を描ける。
