2020年6月29日、数か月閉鎖されていた米国コロラド州デンバーの自動車行政窓口が再開した。運転免許や車両登録を求める人の列は建物を回り、隣のレクリエーションセンターの先まで延びた。列の目的は、すぐ窓口へ入ることではない。まず屋外で電話番号を登録し、その後、入室を許可するSMSが届くまで再び待つ仕組みだった。
感染対策のため、職員とは別に室内へ入れる利用者は最大5人。対面窓口には仕切り板が置かれ、床には距離を保つ目印が付き、清掃回数も増えた。安全のための空間を確保すると、一度に処理できる人数は減る。朝8時に到着し、正午になってもナンバープレートや登録手続きを待っていた人もいた。
この列が示すのは、行政窓口の「再開」が閉鎖前への復帰ではなかったことだ。従来なら待合室が吸収した人々を、屋外の列と携帯電話が分担した。最初の列は本人と用件を登録するため、次の待機は建物内の席が空くまでのためである。SMSは列を消したのではなく、目に見える行列の一部を各人の電話へ移した。窓口の定員が5人である限り、デジタル通知の速さより、室内から一人が出る速度が全体の流れを決めていた。 列を二段階に分ける方法は、密集を避けながら窓口を動かすための工夫だったが、手続き能力そのものを増やすものではない。利用者にとっては、並んでいる時間と、列を離れて通知を待つ時間の両方が行政手続きの所要時間になった。
