感染症の流行で呼吸が苦しくなった人を、自宅で支えるには何が必要だろう。2021年のメキシコでは、新型コロナウイルス感染症の患者のため、家族が酸素ボンベの充填を待つ姿が報じられた。列にいるのは必ずしも患者ではない。病床ではなく家庭で治療を続ける人の代わりに、家族が町を走り、容器を運び、供給の順番を待つ。
酸素は見えない。だからこそ、金属製のボンベが空か満ちているかが、家族にとって切実な違いになる。医療機関の収容力、家庭での看護、充填所の供給能力が一本の列でつながる。列の長さだけでは、何人が必要な酸素を得られたかは分からない。
この行列を「物資の買い物」とだけ呼ぶことはできない。人が待っていたのは容器の中身であり、さらにその先にある、誰かが次の呼吸を続けられる時間だった。
酸素ボンベの補充列にいるのは、呼吸が苦しい患者本人とは限らない。家族が空容器を運び、充填を待ち、再び患者のもとへ戻るまで、医療の一部が家庭の移動作業になった。
日付付きタバスコ報道は、2020年の感染拡大期に酸素ボンベ充填を待つ人々を記録している。
