2022年2月7日、歌唱番組『La Voz Argentina』の対面オーディションに参加したニコラス・ヒメネス・リベロスは、午前10時45分にブエノスアイレス市の会場へ着き、歌えたのは午後7時30分だった。地元紙Pilar a Diarioの取材に、本人は会場に8,000人がいたと語り、午後2時まで一緒に列にいた別の応募者が途中でカメラ審査へ呼ばれたことも説明している。ここで待っていたのは、テレビ放送の観覧席ではなく、歌手になる入口の順番だった。
審査は50人ほどの組に分けられ、一人が歌えるのはまず約20秒。長い待ち時間のあとに与えられる時間は驚くほど短い。参加者は日差しの下で水や帽子の必要を知り、隣り合った応募者と話しながら緊張をやり過ごした。ヒメネス・リベロスは、列で知り合った人との交流をこの経験のよい面として挙げている。
別の参加者は同年1月、コルドバの会場で約3,000人とともに4時間以上並び、1064番前後の番号を受け取ったとTiempo de San Juanに証言した。個性を競うオーディションの前段に、番号と列で全員を同じ順序へ置く時間がある。夢を見せる番組の舞台裏で、待つことそのものが最初の選考のように感じられる行列だった。
