2024年2月、ミャンマーの旅券事務所には申請者の列ができた。国営紙系の報道はヤンゴンの旅券事務所で並ぶ人々を写真で記録している。背景には、軍事政権が徴兵法の実施を発表した直後に国外へ出る準備を急ぐ人が増えたことがあった。AP通信はマンダレーで、1日200〜250枚の予約券に対し、毎日4千〜5千人が並んだと報じた。

旅券は通常、移動を可能にする書類である。しかしこの時の列では、書類を得る順番そのものが、将来の選択肢を確保できるかどうかに結びついた。列は行政手続きの遅さだけから生まれたのではない。徴兵開始の予告が、人々の時間感覚を一斉に早め、限られた窓口へ集中させた。

マンダレーでは夜明け前の混乱で死者も出た。これを旅立ちの物語として美化することはできない。ヤンゴンの整然とした申請列と、他都市で起きた危険な殺到は、同じ制度への需要が、受付能力と群衆管理によってまったく異なる形を取ることを示している。