チリ南部のチロエ諸島では、海峡を渡るフェリーが道路の続きになる。2021年9月、ダルカウエ海峡で運航する艀が二隻だけになり、キンチャオ島との間を移動する住民や車両に長い待ち時間が生じた。現地ラジオは、航海そのものは五分ほどなのに、乗船まで最大二時間待ったと報じている。
車列にいるのは観光客だけではない。島から仕事、学校、通院、買い物へ向かう住民も、貨物を運ぶ車も同じ船腹の空きを待つ。海が道路を分断する土地では、次の便に乗れるかどうかが一日の予定を決める。
短い距離ほど、待ち時間との落差は大きい。対岸が見えていても一台ずつしか船へ進めない。その列は、島の暮らしが海上交通の順番に支えられていることを見せていた。
