2001年9月11日の攻撃後、ニューヨークの赤十字本部にできたのは、助けを受ける人の列だけではなかった。米国赤十字社の回想記録は、建物の中に、ボランティア登録、献血、寄付を申し出る人々の列があったと伝える。緊急事態に「何かしたい」という人が一斉に集まると、善意にも受付能力という上限が現れる。献血なら問診、適格性の確認、採血、検査、保管が必要で、腕を差し出せば直ちに被災者へ届くわけではない。
この行列の中心にあるのは、長さの記録ではなく、支援する側も順番を待つという逆転だ。赤十字は事件後、血液、時間、資金の提供が集まったことを記録しているが、列に並んだ人数を、そのまま救われた人数に置き換えることはできない。大量の献血申し出は、医療上の需要や保存期限とも調整しなければならないからだ。それでも、本部内の列は具体的な行動の記録である。ニュースを見て終わらず、移動し、受付へ来て、組織が一人ずつ処理できる速度に自分の時間を合わせた人々がいた。ここでは待つこと自体が救助ではない。救助につながる可能性を、制度へ受け渡すための入口だった。
