2021年5月19日、フィリピン・ブラカン州サン・ホセ・デル・モンテのスターモールで、国民ID制度PhilSysのStep 2登録を待つ大勢の人が列をつくった。フィリピン統計庁(PSA)の公式声明によれば、『特定のバランガイではこの日が登録最終日』『銀行口座を開けば現金給付がある』という誤情報が広がり、予約のない人々まで登録会場へ集まった。感染症対策のため人数を管理するはずの登録手続きが、逆に過密を生む結果となった。
Step 2は、単に申込用紙を渡す窓口ではない。本人確認書類を検証し、指紋、虹彩、顔写真を登録する工程である。PSAは事前に日時を割り当て、会場ごとの人数を抑える三段階方式を設けていた。しかし、現金給付と締切を結びつける噂は、予約という順番の外側に別の切迫感をつくった。PSAは当日の業務を停止し、影響を受けた予約者には再開時期をSMSで知らせるとした。
この列が映すのは、身分証を得るための待ち時間だけではない。公的な登録制度への期待、給付をめぐる不安、そして非公式情報が、人々を同じ場所へ動かす力である。PSAは再発防止のため、Step 2の予約日時を守り、非公式情報を公式サイトで確認するよう呼びかけた。列は、制度の入口を可視化すると同時に、正確な情報もまた公共サービスの一部であることを示した。
