2021年11月11日、タイ北部チェンマイ県チャイプラカーン郡のバン・トンチョック学校に、移動式住民登録窓口が開かれた。14歳のナムフォン(仮名)と母親を含む移住労働者の家族10組以上が、「登録上の地位を持たない人」の身分証を申請するため訪れた。ナムフォンは他の子どもたちと列で待ちながら、将来の夢を紙に書いた。

彼女は学校の学籍番号を持っていても、タイの住民登録上は存在が確認されず、移動時には逮捕を恐れていた。プロジェクトは2021年9月から翌年5月までチェンマイ、チェンライ、メーホンソンの学校を巡り、約3万2千人の子どもの法的地位改善を目標にした。職員とボランティアが書類準備を助け、申請を郡役所へまとめて届けた。

行政窓口を学校へ動かすと、子どもが制度まで旅する距離は縮まる。けれど列の先で得ようとしたのは便利さだけではない。学校の外でも自分が存在すると証明できる13桁の番号だった。