予防接種の記録写真を見ると、医療は注射器だけで成り立っていないことに気づく。受付、本人確認、順番を待つ場所、接種後の観察。ひとつの処置の周囲に、人を安全に通すための段取りがある。米国疾病対策センター(CDC)の公衆衛生画像ライブラリーに収められたこの資料は、予防接種という日常的な出来事を、制度と身体が出会う場面として読む入口になる。ただし写真の撮影地・年代・写っている人々の行動は、画像の説明文に従って確認しなければならない。写っていない待ち時間や本人の気持ちを写真から推測して断言することもできない。行列の歴史は、何人並んだかだけでなく、誰が順番を整え、誰がその順番にアクセスできたかを問う歴史でもある。

CDCの接種写真では、注射を受ける瞬間より前に、対象者を並べ、器具を準備し、接種後を記録する工程がある。一本の針だけを見ても、集団接種の速度は説明できない。

写真の列を読む鍵は、注射器が見えるかではなく、目録が人々を何の順番として記録したかにある。受付、予診、接種、観察を区別できない部分は、不明のまま残す。