1942年、日系米国人画家ミネ・オオクボは、カリフォルニア州サンブルーノのタンフォラン集合センターで、腸チフスと天然痘の予防接種を待つ長い列に自ら並んだ。その場面を描いたインク画には、列の中のオオクボ、受付用の机、背景の兵舎や電柱が記録されている。作品は後に、彼女がタンフォランとユタ州トパーズで過ごした2年間の強制収容体験を描くグラフィック回想録『Citizen 13660』に収めた198点の一つとなった。日本移民博物館の資料説明は、列がセンター到着後最初の月にできたものだとする。ここでの接種を、通常の公衆衛生キャンペーンと同じように「医療を受ける人々の列」とだけ呼ぶことはできない。並んでいた人々は、米政府の政策によって生活の場から移され、競馬場を転用した一時収容施設の管理下に置かれていた。絵が直接示すのは列と接種手続きであり、個々人の感情までは断定できない。それでも、作者自身が列の一人として画面にいることは重要だ。収容政策の巨大さが、番号を与えられた一人の市民にとっては、兵舎の前で予防接種の順番を待つ日常として現れた。タンフォランは最終的な収容所へ送られる前の「assembly center」だった。作品の所蔵情報は、1942〜44年制作、紙にインク、オオクボ遺産からの寄贈と記録している。行政の写真ではなく、収容された当事者が自分の視点で残した列である点が、この資料を特別なものにしている。