2023年、トーゴ北部のダパオンで、ブルキナファソから逃れてきた人びとが難民登録の列をつくった。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の現地報告は、新たに到着した難民が登録を待って並ぶ写真を掲載し、トーゴ当局がUNHCRの支援を受けて登録を進めていたと記録している。
この列で待たれていたのは、商品でも娯楽でもない。国境を越えてきた人を行政が把握し、保護や支援へつなぐための手続きだった。背景には、ブルキナファソ北部での武装集団による暴力がある。報告に登場する母親たちは、日常生活を手放して近隣国へ逃れ、到着後に自分と家族の存在を公的な記録へ結びつけなければならなかった。
行列の固有性は、移動の終点がそのまま待機の始点になることにある。国境を越えれば安全が完全に手に入るわけではなく、登録という順序だった手続きを経て、ようやく長期的な保護の入口に立つ。買い物の列と同じ「先に来た人から進む」形を取りながら、その一歩が持つ意味はまったく異なる。
