オーストラリア戦争記念館が所蔵する1943年4月9日制作の宣伝ビラには、戦争が日本市民の暮らしへ与えた経済的影響が描かれている。二つの挿絵の一つは、空の金庫を前に「質屋へ行くしかない」と語る男性。もう一つは、市営質屋の前にできた長い列である。

これは現場写真ではなく、連合軍側の極東連絡局が日本・台湾向けに作った宣伝物である。そのため、特定の質屋や列の人数を証明する資料としては使えない。一方で、質入れの順番を待つ列が、戦時の家計難を読者に一目で伝える象徴として選ばれたことは確認できる。現金を得るため、家にある品を手放す。その重い決断にも、窓口へ着くまでの順番があった。