1967年2月、パリのグラン・パレに、ピカソ展の入場を待つ列ができた。フランス国立美術館連合とグラン・パレが公開する写真は、会場前の人々を「Queue for the Pablo Picasso exhibition」と明記している。写真が残すのは単なる人気展の混雑ではない。存命中の芸術家の仕事を、美術史としてまとめて見ようとする人々の順番待ちだった。
大回顧展は、年代も作風も異なる作品を一つの会場に集める。入口で待つ時間は、その巨大な作品群を共有するための最初の順路になった。資料によれば、この展覧会は34万7,000人を集めた。列の一人ひとりの待ち時間までは分からないが、写真は、ピカソの名が1960年代のパリでどれほど強く人を動かしたかを具体的に示している。
美術館の行列は、作品を買うための列ではない。同じ空間で本物を見る機会を、見知らぬ人同士が順番に分け合う列である。グラン・パレの写真は、前衛だった絵画が公共の文化体験へ変わる、その入口の瞬間を記録している。
